パ・リーグの外野手部門は、2024年シーズンも激戦が予想されます。UZR(Ultimate Zone Rating)という守備指標を用いて分析すると、以下の選手たちが特に注目されます。
特に万波選手のUZR 16.5は、12球団全ポジションでトップの数値です。昨年の受賞時(UZR 12.5)よりもさらに向上しており、連覇の可能性が高いと言えるでしょう。
一方で、昨年まで3年連続受賞していた楽天・辰己涼介選手は、中堅でUZR -7.9と苦戦しています。守備位置の変更が影響している可能性もありますが、4年連続受賞は厳しい状況と言えそうです。
内野手部門では、各ポジションで以下の選手たちが注目されます。
特に三塁手部門では、栗原選手のUZR 13.8が突出しています。昨年まで3年連続受賞のオリックス・宗佑磨選手(UZR -6.3)を大きく引き離しており、初受賞の可能性が高いと言えるでしょう。
遊撃手部門では、6年連続受賞中の源田選手が依然として高いUZRを維持しています。しかし、友杉選手も僅差で追随しており、接戦が予想されます。
ゴールデングラブ賞(GG賞)は、1972年に創設された守備部門の栄誉ある賞です。当初は「ダイヤモンドグラブ賞」という名称でしたが、1986年から現在の名称に変更されました。
パ・リーグにおける歴代最多受賞記録は以下の通りです:
これらの記録に迫る選手が現れるかどうかも、今後の注目ポイントとなるでしょう。
ゴールデングラブ賞の詳細な歴史や受賞基準についてはこちらを参照
GG賞の選考は、5年以上のプロ野球取材歴を持つ新聞社やテレビ局などの記者による投票で決定されます。選考対象となる選手の条件は以下の通りです:
投票では、「該当者なし」という選択肢も用意されており、過去には誰も選出されないケースもありました。2010年のセ・リーグ一塁手部門では、260票中140票が「該当者なし」となり、受賞者が出なかったという珍事も起こっています。
この投票システムについては、時に議論を呼ぶこともあります。例えば、打撃成績や所属チームの強さが投票に影響を与える可能性があるという指摘もあります。純粋に守備力のみを評価することの難しさが表れているとも言えるでしょう。
近年、野球界ではセイバーメトリクスと呼ばれる統計学的アプローチが注目を集めています。GG賞の選考においても、UZRなどの客観的指標が参考にされることが増えてきました。
セイバーメトリクスの導入により、以下のような変化が見られます:
ただし、セイバーメトリクスだけでは捉えきれない要素もあります。例えば、チームメイトとの連携や試合の重要局面での集中力など、数値化しにくい要素も守備力の重要な一部です。
そのため、今後のGG賞選考では、客観的指標と専門家の目による評価をバランスよく組み合わせていくことが求められるでしょう。
セイバーメトリクスを用いた野球分析の詳細についてはこちらを参照
以上の分析から、2024年のパ・リーグGG賞は、特に外野手部門と三塁手部門で大きな注目を集めそうです。万波選手や栗原選手の活躍が目覚ましい一方で、ベテラン選手たちの復活劇にも期待がかかります。シーズン終盤に向けて、各選手の守備パフォーマンスがどう変化していくか、そして最終的にどの選手の手にGG賞が輝くのか、目が離せません。
野球ファンの皆さんも、ぜひ各選手の守備に注目しながら試合を楽しんでみてはいかがでしょうか。時には華麗な好プレー、時には地味だけど重要なルーティンプレー。それらを総合的に評価するGG賞は、野球の奥深さを再認識させてくれる素晴らしい賞なのです。